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行く前はファヴィニャーナ島のその場所すら知らなかった私だが、実は日本と深い深い関係がある。ソレは古くからこの地の主産業である「マグロ漁」。ファヴィニャーナ島の収穫量の8割近くを、日本の漁船が買い取っていくという。

最盛期には20以上のマグロ集積地があったというシチリア東海岸は、イタリアのみならず、欧州における最も発展した漁港として繁栄を遂げてきた。が、今は収穫量の激減でわずか2カ所が残るのみ。かつて千人もいたマグロ漁師も今は30数名しかいないという。そんな彼らが今、専用の組合を発足させ、先祖代々受け継がれてきた伝統を残そうと奔走している。ソレがマッタンッアという、シチリアに古くから伝わるマグロの追い込み漁である。

さすがマグロ漁の島。そこここに魚屋があって、
マグロの切り身がドンドコ積まれてる!
ソコにさあ〜出ました!豪快マグロの吊るし切り!
いや〜コレほんとぉ〜にデかいマグロで、
私よりずっと大きいくらいで大迫力!
思わず、醤油&ワサビで刺身喰いたい!と、
日本人DNAが全開になってしまったよ!(笑)

人口5000人余りの小さな島でも、ヴァカンスシーズンともなればまた別。通りは観光客で賑わい、彼ら目当ての店が華やかな彩りを添えている。もっと閑散とした雰囲気を想像していた私はちとビックリ!

といっても、洒落たリゾート地よ!というようなお澄ましモードではなく、あくまでホヨヨンとした和みムードが漂う地元観光地…という風情がよろし!

ファヴィニャーナ島のお土産といえば、数あるイタリア食材の中でも高級なボッタルガ、マグロの卵のカラスミが一押しである。カツオ節みたいな立派な棒状のモノは現地でさえ目を見張るお値段だが(しかしコレをスライスしたモノはチョ〜美味!)パウダー状は、ひと瓶5ユーロほどでお手頃である。

ニンニクを少量効かせたオリーブオイルをパスタにたっぷりからませ、ボッタルガパウダーであえる。冷えたヴィノビアンコと共に食せば、海の香いっぱいのグフフ〜な一皿の出来上がりだ!簡単便利かつ美味なるパウダーは重くてもガンバってゲットすべし!間違ってもチューブ入りのペースト状は買うべからず!である(笑)

シチリア 男の漁 La Mattanza 〜マッタンツァ〜  

コレは海中に張った網にマグロを追い込み、徐々に引き上げ、最後は銛(もり)で一匹づつ仕留めていく漁法で、時に300キロを超すマグロとの一騎打ちで命を落とす漁師もいるという、まさにマグロと人間の死闘。命がけの漁なのだ。

合理的、経済的に物事が運ばれる現代において、ソレは無意味に血生臭く、あまりにも原始的だ。しかし、単なる漁以上に、男たちが「海の男」として、その度胸と度量を試された舞台であり、生と死を賭した聖なる儀式でもあったのだ。

遠くフェニキア人の時代から行われてきた、実に900年近くもの歴史ある漁法、マッタンッア。ファヴィニャーナ島の歩みそのままの、この伝統行事は、海の男たちの誇りと共に、これからも生き続けていくのだろう。

ボッタルガの瓶のフタに、
マッタンッアの絵が描かれてましたっ!