山の、海の天気は変わりやすい。
晴れていたと思えば、アッという間に霧や雲に覆われる。まるで山々に住む神々が、気まぐれにパイプの煙を吹き出しているかのようだ。

白いベールに見え隠れしているのは、あんな所にどうやって行くのだろう?!という場所に点在する、名も知らぬ小さな村々。

よくよく目を凝らすと、そんな小さな集落にも教会の尖塔が見え、厳しい環境の中、先祖代々土地を切り開き、住み続けてきたことがうかがえる。

潮風を真っ向から受け止め、誇りを持って生きてきた力強い人間の営みの姿。チンクエテッレとは、やさしい顔だけではないのである。