モンテプルチャーノにまた戻ると、夕方から開き始めた店をのぞきながら、街の高台まで歩いていく。
城壁にたどり着いたちょうどその時、ゆるりと日が落ち始めた。  
眼下に広がる雄大なパノラマの風景を、オレンジ色の光が包みこむように沈んでいく…  
なだらかな平野も、教会の尖塔も、茶褐色の屋根瓦も、頬杖をつく私の手も、
やわらかな光に染まって暖められていく。  
自然がおりなす一瞬の絵巻物は、だからこそより美しく刹那的である。  
早くも煙突の影が後方に長く引っ張られ、赤から蒼へとキャンバスの色が変わっていく。
温もりを求めるかのように、我々は夕日に向かって歩き出す。


 

「寒いから中に入っておいで」そんな言葉に誘われて扉を開けた1軒の家は、色とりどりのガラスの破片で埋まっていた。そう、ココはモザイク工房…。前掛けをして、鼻にちょこんとのっけた眼鏡の下から覗く優しい眼はピノキオのジュセッペじいさんそのもの。

どこから来たんだい?と尋ねながらも手は休めず左手で破片を選び、ノミをうがい右手の金槌を小さく振る。カチン…乾いた音とともにガラス片は、下絵にぴ ったりの大きさに割られ、ピンセットで置かれていく。
 
今、取り組んでいるのは聖母子像。バックに静かに流ている賛美歌のせいか、まるで教会にいるような荘厳な雰囲気が漂っている。 
               

10代から始めてもう50年近くこの仕事をしていこと…需要がどんどん減って、材料のガラスの入手が困難なこと… ラスの代わりに樹脂を使うこともあるということ…
淡々と語るその口調は、まぁ仕方ないさと言いたげだ。

ただ、職人気質の現れなんだろう、良い材料が入らないの が悔しいらしく、ガラスの色見本を見せると「コレとコレ >は、もう作られていないんだ」と淋しそうに教えてくれる。彼にとってそれはきっと、仕事が無いより辛いことなのか もしれない。

1片わずか5ミリ四方の小さな欠片が生み出す 色彩の芸術、モザイク。またいつか此処を訪れた時に、欠片を割る神聖な音が聞こえてきますように…灯りの下の彼の 顔を見ながら、そっと工房を後にする。

 
 
■場所/ホテルのすぐ横のレストラン 
■お一人様約3000円也(3人様)

■お献立/赤ワイン・クロスティーニ・サラミ盛り合わせ・ほうれん草のラビオリトリフソース
ピチのポモドーロソース・ウサギのグリル・イノシシの赤ワイン煮・エスプレッソ
■満足度/
★★★ ■残念度/★★★★★
 

 

そうでなくでも寒かった一日だったが、この頃になるともうマジ歯の根があわないくらい冷えてきたので、席につくなり「早くワイン、ワイン!持ってきて〜」状態(笑)途中で見かけた公営のワイナリーの赤を持ってきてもらい、手足に血が通 うのを待つ情けない私(笑) 山の上の街は寒いんである。みなさんも要注意!であります…

 

さて、今日の献立で特筆すべきものは、なんといっても初対面 の「ピチ」 (なんてかわいい名前なんでしょう!クス…) これは丸く太いパスタで、そのツルツル、モチモチとした食感はうどんそっくり! 美々卯(大阪の老舗うどん店)も真っ青の野太い麺とコシなんである! いやぁ〜これには参った〜♪うまいっ! このパスタの詳細をご存じの方は是非教えてください(笑) 
 
そしてっメインに運ばれてきたのが私の大好きなウサちゃんとイノちゃん! 嬉しそうに声高く注文したもんだから、店のおばさんも苦笑い… ウサギを見ると、カワイイ…と思うよりウマそう…と思ってしまうほど大好物なので、そりゃぁ〜楽しみにしていたのに、なんか腹具合がおかしい…お腹減ってたはずなのに、もう胸が一杯である。

アンティパスティなんか食べなきゃよかったと思ってもすでに時遅く、ホカホカ湯気をたててるウサちゃんを目の前に、無言でフォークを握りしめる私…
 
あぁ〜神様〜これ以上食べれません…(なんで?)  
モクズと消えたウサちゃん、イノちゃん。ふがいない私をどうぞ許してください(合掌)
 
  おかしい!絶対おかしい!いつもならこれくらい軽くペロリんこのはずなのに… あまりの悔しさに私は頭が真っ白になりながら、 しかし気分はいよいよ最悪に悪寒さえしてきたではないかっ! そうなんである。今日一日タイツはおろかパンストすらはかず、素足をさらしていた私は、 見事に「カゼ」をひいてしまったのである…がぁ〜んっ!
まだイタリアに着いて1日目なのに〜〜!!
ボ〜然としながらホテルに戻ったそれは悲しい夕食でした…
※レストランの名誉にかけて言うと、食事はとても美味しかったです…念のため…
               


〜ウサギとイノシシ Cinghiale e Coniglio 〜 
 

豊かな丘陵地帯を有するこの地方では、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナのキアーナ牛 が有名なように良質な肉の産地でもある。その中で食べて欲しいのがウサギとイノシシ(笑)
ウサギは全くクセもなくトリのモモ肉をもっとジューシ〜に味わい深くした感じ。軽い肉質なので、 牛やラムを避けたい時にもお勧めである。イノシシはさすがに多少臭うが、フルボディの赤とあわせれば野趣溢れる味わいが楽しめる。 またこの地方でよく食べられる幅広パスタのパッパルデッレには、これらのミートソースがよく使 われていて、濃厚なソースが卵入りの手打ち麺と相性抜群!イノシシの生ハムもこの地ならではの珍味で、これまたワインがいくらでも進んでしまう魔性の味わい! 食の宝庫トスカーナならではの贅沢と冒険?を是非楽しんでみてください!
 

             
今宵のお宿はインフォメーションで紹介してもらったこの街最古の老舗ホテル。家族経営ということもありとても気さくなお姉さんは、テラス付きの「眺め良い部屋」に案内してくれた。 冬場で物悲しいとはいえ、テラスから見渡す景色はなかなかのものだ。しかし、なんといってもホテルの調度品が素晴らしい!
踊り場に置かれたイスや振り子時計、古びた小物が並ぶガラスケース…映画に出てきそうな撞球室…。
それら全てが、このホテルと家族の歴史を物語っているようで、ほのぼのとした暖かみを感じさせるのだ。
 
部屋の家具もステキで、なんと帽子立てがあってびっくり!
よほど「高貴なお方」が泊まる部 屋なのだろうか?(笑)
部屋の外にも、ソファー セットがあって、全ての空間がゆったりしてる 感じ…
しかもこうゆう古いホテルで心配ものの、水 回りもちゃんとしてて、熱いお湯もたっぷり出 て二重丸のホテルでした。
体調的にぐっすり眠れなかった私。ミシミシ、 ガタガタいう音で夜中に目を覚ましてしまった。
外は 猛り狂 ったように風が吹き荒れていて、まるで吹雪の ような有様。こりゃ〜寒いはずだわさ(笑)
         

 

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