ギザギザ王冠型の城壁が、幾重にも重なる堂々たる姿を
豊かな丘陵地帯に惜しげもなく投げ出すグラダーラ城
その腕(かいな)の中で生まれたひとつの悲恋物語は
ついに城壁の外へ飛び立つことことなく消えてしまった
小さな丘をひとつ、ふたつ超えれば
もう少し、もうほんの少し、高い所に登れば
緑の頂の間から、キラキラと輝く水面が見えただろう
白く、蒼く広がる水平線が見えただろう
逃げるにはあまりに近く、遠かったアドリア海が
その潮風にのって
ふたり手をとりあい、ときに接吻をしながら
グラダーラの街と城を、今は自由に飛び回っているに違いない
パオロとフランチェスカ
ふたりの恋が芽生え、散った街
グラダーラにて
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